電磁成形

電磁成形とは

導体に電流が流れると回りに磁界が生じます。そして、この磁界近くの導体には内部に電流が発生、電磁力により素材自体が変形力を生みます。この力を利用する加工法を電磁成形と言います。

電磁成形の特徴

プレスによる穴開けや抜き加工の場合、パンチと呼ばれるオス型とダイと呼ばれるメス型が必要です。ダイとパンチの隙間(クリアランス)は加工素材の数パーセントが最適とされており、薄くなるに従い最適なクリアランスは小さくなります。例えば1mm厚素材の場合は0.05mmですが、0.1mm素材の場合0.005mmが最適クリアランスとなります。すると、非常に高い加工精度が要求され、製作が困難になる場合が出てきます。電磁成形の場合、電磁力により素材自身に加工力が生まれるため、パンチが要らなくなります。ダイのみで穴開けや抜きが加工出来るため、薄板加工において圧倒的に有利になります。

パイプの径を拡大させたり縮小させたりする場合も同様です。必要な形状に加工された金型内部に加工させるパイプを設置し、パイプの両端から液体を内部に高圧で加え成型させるバルジ加工(ハイドロフォーミング)が一般的で、複雑な金型や高圧加工液の封入装置等が必要になります。電磁成形の場合、形状によっては金型を使わずコイルのみで加工が出来るという特徴があります。

素材の変形力を生み出すためには非常に強い磁力が必要であり、非常に大きな電流が必要です。この大電流に耐え、かつ、強い磁界を加工素材に与えるためのコイルを、都立高専相沢教授と共同で開発を行ってきました。

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